ピエールとしたいことすべて。

僕はまずピエールを殺したい

 

責任を持って、この素手で

 

ピエールの薄く華奢な首が絞まるとき

 

ピエールはいったいどんな表情を見せるのだろう

 

僕はピエールを愛した分だけ

 

強く、強く、首を絞める

 

 

僕はピエールを愛していた

 

ピエールはその言葉を嫌ったが

 

僕はピエールを愛していた

 

ピエールのウニみたいな脳みそ

 

ピエールのお人形みたいな体

 

ピエールのメールアドレス

 

ピエールの電話番号

 

ピエールの本名

 

僕はピエールの生み出す全てのものが好きだった

 

抜け落ちた毛根も、切り捨てられた爪も

 

 

僕はピエールに殺された

 

それはある意味で幸せなことだったのかもしれない

 

僕もピエールの一部になれたのだ

 

 

そんなわけないだろ馬鹿野郎

 

 

抜け落ちた毛根、切り捨てられた爪

 

僕の正体がどっちであっても、叩き付けられた床で僕はずっとこうつぶやいている

 

「もっと一緒にいたかった」


床から見上げる君との距離は、どこよりも遠くに感じた

 

 

だから僕はピエールを殺したい

 

同じ世界に来て欲しい

 

床に落ちたものたちの世界に

 

愛も何もない世界に

 

そこに来たとき、君は気付くだろう

 

 

僕はまだ生きてる

 

 

ホコリの隙間で、呼吸をしている

 

ずっと君を待っている

 

昔話はしたくない

 

汚れてしまった僕がいいたいのはただ一つ

 

「また遊ぼう」

 

それだけなんだよ

 

それだけなんだよ